ゲドが安息所に選んだ場所は正しかった。今や彼を人間にもどすことのできる者は

ロークに二、三人と、あとはゴントにたったひとりいるだけになっていた。

 目が覚めても、ゲドはまだもとのゲドにもどれず、口もきけなかった。

オジオンは黙って、彼に肉と水を与え、火のそばにすわらせた。背をまるめて

うずくまったゲドの後ろ姿は、疲れて、不機嫌になっているハヤブサを思わせた。

夜が来ると、彼は眠った。三日目の朝、オジオンが炉端にすわって、火を見つめていると、

ゲドがやって来て言った。

「オジオンさま・・・。」

「やあ、来たか。」オジオンは言った。

「はい、出ていったときと同じ、愚か者のままで。」若者は言った。その声は重く、

かすれていた。オジオンはちらと笑って、炉端の自分の向かいにすわるよう指図し、

茶の用意を始めた。

     ル=グウィン著 ゲド戦記Ⅰ 「影との戦い」より
     





今、二度目のゲド戦記を読んでる最中。

「はい、出ていったときと同じ、愚か者のままで。」

自分でも何故だかわからないけど、この言葉に涙が出てきた。

何度読み返しても、目に涙が溢れてくる。





オジオンは黙って、彼に肉と水を与え、火のそばにすわらせた。

この一文も胸にしみる。

心も体もボロボロに傷付いた者に、言葉はいらない。

私も、こんな人になりたい。





「向きなおるのじゃ。」

「向きなおる?」

「そうじゃ。もしも、このまま、先へ先へと逃げて行けば、どこへ行っても危険と災いが

そなたを待ち受けておるじゃろう。そなたを駆り立てているのはむこうじゃからの。

今までは、むこうがそなたの行く道を決めてきた。だが、これからはそなたが

決めなくてはならぬ。そなたを追ってきたものを、今度はそなたが追うのじゃ。

そなたを追ってきた狩人はそなたが狩らねばならん。」

ゲドは答えなかった。

「そなたに名前を授けたのはアール川の水源だったな。」魔法使いは言った。

「あの川は山から落ちて、海へと注いでおる。人は自分の行きつくところをできるものなら

知りたいと思う。だが、一度は振り返り、向きなおって、源までさかのぼり、そこを

自分の中にとりこまなくては、人は自分の行きつくところを知ることはできんのじゃ。

川にもてあそばれ、その流れにたゆとう棒切れになりたくなかったら、人は自ら川に

ならねばならぬ。ゲドよ、そなたはゴントにもどってきた。わしのところにもどってきた。

さあ、きっぱりと向きなおって、その源と、そこから流れ出ているものを探すのじゃ。

そこにこそ、力となるものが発見できようぞ。」




「受け入れる」 が私の構え。

何もかも、自分の思い通りになんか、ならないことばかり。

でも、それも、これも、どれも、とにかく 「受け入れて行こう」 と。

受け入れるしかないやろ、と。

私、何か、間違ってた・・・か・・・?



本を読んでも、すぐに忘れてしまう。

今回は、ちょっと残しておきたいと思って書いてみた。

ブログ、公開日記じゃなくて、ただの自分のための日記やね。

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コメント
こんにちは
お気に入りの本
じっくり 何度も 読むのっていいですよね
自分のその時の気持ちやなんかで
また 内容が 違って思えたりして^^

私は 最近 『日本人の誇り』って本が
気になってるので 近々 読もうと思ってます^^
ゲド戦記読んでる筈なのに、全然忘れてた。
なんか言葉の一つ一つが染み渡る。
友人がゲド戦記はスピだといっていて、そうだなって思ったよ。

やっぱり、すべては自分が決めてきてるという気がする。
でも物事はいつも向こうからやってくるという実感しかない。
波乗りのように、やってきたものに乗っているだけ。
被害者意識すらあるね。

できるなら運命は、自分で舵をとりたい。
口で言うのはたやすいけれど、少しだけわかるときがあるんです。
ありがとう。ちょっと立ち止まって考えた。
kotoneさま
こんにちは。

お気に入りってほどじゃなかったんですけど、
何故か「この本をもう一度読んでみよう」と思って。
以前読んだときは、そんなにハマって読んだ記憶はないんだけど、
何か残るものがあったんでしょうね。

2度読んで、感動した本には「ノルウェイの森」があります。
最初に読んだときは、全然面白くなくて、ほんの少し読んだだけで
やめてしまったのに、2度目に読んだときは食い入るように読みました。
そのときそのときの気持ちや状況で、かなり変わりますね、
本から受ける感動って。

『日本人の誇り』って話題の本みたいですね。
もし、読んだら、感想を聞かせてください(^^)

aacoさま
こんばんは。

私も、忘れてたよ~。
「追われて逃げてばかりいるよりも、いっそのこと自分から向かって行け」
という部分だけは覚えていたけど、あとは全然・・・。
やっぱり、本1冊読んで1個しか覚えられないんだな(~_~;)

私は以前、カウンセリング関係の本を読んでた時期があって、
その中で河合隼雄さんが、児童文学や童話、昔話を勧めていたのね。
中でも、この「ゲド戦記」はかなりオススメな感じだった。
だから、読んでみたんだけど、その時はあまり分からなかったのよ。

でも、今は、一言一言がしみてくる。
「戦記」となっているけど、冒険談というより精神的なものを強く感じるよ。

年を重ねるにつれて、出される課題が難問になって来てる気はするよね。
でも、これまでに、数えきれないほどの人が乗り越えてきたことなんだから、
私だけ逃げるわけにはいかないよね。

自分で決めたことなんだから、と思う。
思えば、私はいつも自由だった、とも思う。

誰も私に「ああしろ、こうしろ」なんて強制したりする人はいなかった。
いつでも、私をがんじがらめにしているのは私自身だった気がする。

どうせ、思い通りになんかならないと、諦めてばかりじゃなかったか?
もしかしたら、自分の人生の舵取りを放棄しているのかもしれない。

小心者の自分が情けない。

う~ん、本1冊から、いろいろ考えちゃうなぁ。

No title
ゲド戦記って読んだことなかったけれど、
「aoさんの日記」のおかげで読んでみたくなりました。
かなりの重量だから、ちょっと凹んでいる今日この頃、
読み切れるかなと思うものの、何事も最初の一歩が大事かな・・・?

aoさんの「受け入れる」も、うんうんとうなずけるし、
色々思うところがあるのに、なんだか言葉にならないな・・・。

いいこと教えていただいて、ありがとうございました!
そらまめさま
こんにちは。

「ありがとう」だなんてぇ~(^_^;)
こちらこそ、コメントありがとうございます。
コメントしにくいですよね、こういうのって。
でも、今読んでるこの感動を残しておきたいと思って。
なにせ、すぐ忘れてしまうものですから(>_<)

「ゲド戦記」は1巻ずつ完結してるから、まだ大丈夫と思いますよ。
「指輪物語」(ロード・オブ・ザ・リング)は本当に長かった。
しかも、話が超スローなので、かなりしんどかったです。
でも、読み終わる頃には「もっと長くてもいいんじゃないかしら?」
と思ってましたけど。

どちらも名作で、わたし的にはオススメだけど、
読書は、自分が読みたい時に、読みたい本を読むのが一番ですよ♪

最近、ブログ三昧な日々が続いていたので、久々の読書が新鮮♪
それに、読書は睡眠導入剤にも最適!
夜、寝る前に読んでると、睡魔がやさしく襲ってきます。(笑)

ブログを読んだり書いたりだと、全然眠たくならないんですけどね。
なぜかしら?



No title
私は映画を見たけど、映像しか残ってないなぁ。
訴えてる何かがわからなかったんだと思います、はは(^^;

「受け入れる」が構え。
とにかく受け入れてみなきゃ、何のことかも分からないですし、知識として得るためには必要ですよね。
私も受け入れるが構えです。
それを自分なりに噛み砕いて、必要なもの、そうでないものに分けて、自分のスタイルに持ち込んでいます。
道のりは違うかもしれないけど、行くつくところはみんな一緒だったりしてね(^^)

aoさんのブログだもん、なんでもありです。自由にいきましょー^^
oogieさま
こんにちは。

映画の「ゲド戦記」は、私も何だか、う~ん・・・。
「いのちを大切にしない奴なんて、大嫌いだ!」
というテルーの言葉が主題なんだろうけど・・・。

ゲド戦記って、5巻まであるんですよ。

1 影との戦い
2 こわれた腕環
3 さいはての島へ
4 帰還(旧副題:-ゲド戦記最後の書-)
5 アースシーの風

今回、私が読んだのは「影との戦い」なんだけど、映画は
1~5巻までを全部ごちゃまぜにした感じ。
私としては、シンプルに「影との戦い」だけの方が良かったな。

私たち夫婦、結婚に至るまでには結構色々なことがあったんですよ。
今は、ただの、らぶらぶ夫婦ですけど♪

結婚に至るには、色々なことを「受け入れる」しかなかったんです。
噛み砕けなかったんですよね~。
全部、丸飲みです。
飲み込むには時間がかかったし、ちょっとしんどかったなぁ~。

でも、最終的に全部受け入れたってことは、
そんだけ旦那のこと好きだったってことでしょうね。

いやん、また、惚気ちゃった(^^♪


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